ほうれん草の基礎知識
元気が出る野菜というイメージが強いほうれん草ですが、これはヒユ科のアカザ亜科ホウレンソウ属の雌雄異株の野菜です。
栽培に適しているのは冷涼な地域、冷涼な季節で、冷え込むことで軟らかく、味もよりよくなります。逆に高温下では生殖生長に傾きやすく適していません。
中央アジアから西アジアがほうれん草の原産地で、初めて栽培をしたのはペルシア地方などアジア地域だとされています。その後、ヨーロッパに中世末期頃にアラブから持ち込まれて、それからは他の葉菜類よりも一般的な野菜になったのです。
東アジアにはシルクロードを通って伝わり、中国に7世紀頃、日本には江戸時代の初期頃に渡来したとされています。
ほうれん草はビニールハウスでの栽培も可能で、比較的日本で栽培が多いのは千葉県と埼玉県です。年間で約30万トン生産されており、それでも需要が多いので、更に冷凍ものが約2万トン輸入されています。つまり、人気の野菜だというわけです。
ほうれん草の旬は冬で、おいしくなる時期です。特徴的なのは収穫前に冷温にさらすことがしばしば行われるという点で、こうした処理は「寒締め・かんじめ」と呼ばれます。もともとは東北農業試験場(現在は東北農業研究センター)で確立した栽培方法で、寒締めを行うことでほうれん草に低温ストレスを与え、糖度の上昇、ビタミンC、ビタミンE、βカロチンの濃度上昇が起こるのです。